こんにちは、メディカルアプリナビゲーターのたかくんです。
メディカルアプリ関連の記事を書いていて、ふと疑問に思ったことがあります。
「遠隔医療」と「遠隔診療」の違いについてです。
普通は細かい表現の違いなので、あまり気にすることもないかと思いますが、調べてみるとどうやら明確な定義があるようです。
あなたはこの2つの違いをご存知ですか?
遠隔医療と遠隔診療の定義
結論からいうと、遠隔医療のなかに遠隔診療があるというイメージです。
いろいろと調べた結果、こちらが正式な定義のようです。
遠隔医療:通信技術を活用して離れた二地点間で行われる医療活動の全体を意味する。なお、時に遠隔医療が介護、保健に関連する活動をも含むと解される場合もあるが、医療、介護、保健はこれを運用する制度が異なるものであり、混乱の無いよう注意すべきである。
遠隔診療:遠隔医療のうち、医師が遠隔地から在宅等で療養する患者の診察およびそれに続く一連の診療を行うことを意味する。いわゆる医師-患者間の非対面診療であり、本指針が対象とするものである。患者側で看護師など医師以外の医療スタッフが補助する形態もこの中に含める。
この定義は日本遠隔医療学会から出されているもので、この定義に落ち着くまでの下記のような変遷があったようです。
- 1970年代 遠隔医療の取組み開始
- 1990年代 遠隔医療の取組みが本格化
- 1996年 厚生労働省に遠隔医療研究班が組織され、遠隔医療について定義が決まる
- 2005年 日本遠隔医療学会が発足、遠隔医療の定義の見直しが検討される
- 2006年7月 日本遠隔医療学会で遠隔医療の定義の見直しの結果、再定義される
- 2011年3月 「在宅患者への遠隔診療実施指針」(2011年度版)が公表され、さらに定義が見直され「通信技術を活用して離れた2地点間で行われる医療活動全体を意味する。」と定義された
1.遠隔医療の定義
わが国では、1970 年代から遠隔医療の取組みは始まったが、1990 年代に本格化し、1996 年には、厚生労働省に遠隔医療研究班(班長:開原成允・東京大学教授(当時))が組織された。当時は画像伝送を中心とした取組みが多かったことから、研究班では「遠隔医療とは、映像を含む患者情報の伝送に基づいて遠隔地から診断、指示などの医療行為及び医療に関連した行為を行うこと。」と定義した 1)。
その後、2005 年には日本遠隔医療学会が発足し、上記定義の見直しが行われた。その結果、日本遠隔医療学会は 2006 年 7 月に「遠隔医療(Telemedince and Telecare)とは、通信技術を活用した健康増進、医療、介護に資する行為をいう。」と再定義した 2)。さらに、2011 年 3 月に公表した「在宅患者への遠隔診療実施指針」(2011 年度版)では、「通信技術を活用して離れた2地点間で行われる医療活動全体を意味する。」とした 3)。
日本遠隔医療学会-図説・日本の遠隔医療2013
ちなみにWikipediaで遠隔医療を検索してみると下記のような説明になっています。
遠隔医療(えんかくいりょう.telemedicine)とは医師と患者が距離を隔てたところでインターネットなどの通信技術を用いて診療を行う行為。遠隔診療。細かく見ると「遠隔診断」と「遠隔診察」とに分けられる。
遠隔医療 – Wikipedia
「遠隔医療」と「遠隔診療」との違いなどは書いていないですね。おそらく、あまり違いを気にする人もいないんでしょうね。
「遠隔診療」に関する厚生労働省の解釈とは?
ちなみに厚生労働省は「遠隔診療」について「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」という通知を出しています。この通知の中で、
患者の居宅等との間で行われる遠隔診療については、医師法第20条等との関係が問題となる。
という記載があり、「遠隔診療」を行うには医師法第20条を理解して関係を見ていく必要があります。その医師法第20条をみてみると…
第二〇条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
医師法
このような内容になっていて、遠隔診療との関係が問題となるのは「自ら診察しないで…」という部分。
つまり、遠隔地で画面越しに診ることが診察とならなければ診断書や処方せんが交付できないという意味になります。
そのことについての解釈が以下のようになっており、遠隔診療でも問題ないということになっています。
直接の対面診療による場合と同等ではないにしてもこれに代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではない。
情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について
対面の診療と同等でないにしても代替できるもの(=遠隔診療)なら問題ないとの解釈のようです。
さらに通知には留意事項があり、それが遠隔診療のルールとなっていました。
2 留意事項
(1) 初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療によること。
(2) 直接の対面診療を行うことができる場合や他の医療機関と連携することにより直接の対面診療を行うことができる場合には、これによること。
(3) (1) 及び (2) にかかわらず、次に掲げる場合において、患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、直接の対面診療と適切に組み合わせて行われるときは、遠隔診療によっても差し支えないこと。
ア 直接の対面診療を行うことが困難である場合 (例えば、離島、へき地の患者の場合など往診又は来診に相当な長時間を要したり、危険を伴うなどの困難があり、遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難な者に対して行う場合)
イ 直近まで相当期間にわたって診療を継続してきた慢性期疾患の患者など病状が安定している患者に対し、患者の病状急変時等の連絡・対応体制を確保した上で実施することによって患者の療養環境の向上が認めれる遠隔診療(例えば別表に掲げるもの)を実施する場合
情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について
一部ですが抜粋してみました。
このなかで「遠隔診療」のルールとなっているのが、「初診は原則直接の対面診療」とはじめは直接診る必要があるという部分と「離島、へき地の患者の場合」と患者が限定されるという部分、さらに例えとして別表が明示されており、疾患が限定されるという部分。
この通知により、「遠隔診療」は事実上困難だという解釈がなされてきました。
しかし、その解釈があくまでも例であってその例の限りではないというような事実上の遠隔診療解禁になる通知が出されました。
それが平成27年(2015年)8月に出された事務連絡です。
その事務連絡において「離島、へき地の患者」や提示されている「対象、内容」があくまでも例示であるという解釈が明示され、「遠隔診療」について事実上の解禁となり、国内でもさまざまな「遠隔診療」サービスが出てきたわけです。
1.平成9年遠隔診療通知の「2 留意事項(3)ア」において、「直接の対面診療を行うことが困難である場合」として、「離島、へき地の患者」を挙げているが、平成9年遠隔診療通知に示しているとおり、これらは例示であること。
2.平成9年遠隔診療通知の「別表」に掲げられている遠隔診療の対象及び内容は、平成9年遠隔診療通知の「2 留意事項(3)イ」に示しているとおり、例示であること。
情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について
ちなみに抜粋した通知「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」は平成9年(1997年)12月に出され、平成23年(2011年)3月に一部改正されたものになります。
さらにこの通知の解釈として平成27年(2015年)8月に事務連絡が出されたという流れです。
以上、「遠隔医療」と「遠隔診療」の違いについてまとめてみました。
さらに「国内・海外の遠隔医療アプリ14選」、「国内・海外の遠隔診療アプリ7選」という記事にて具体的なアプリを紹介しています。
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